19世紀のイギリス。
寄宿学校があって、寮があって。
イメージはまさにあの『ハリーポッター』の世界です。
そこでは寮対抗のゲームが行われていました。
それはとても野蛮なもので、
ゲームのたびにけが人がでた。
怪我ならまだしも、死人も出る。
背が高かったりちょっと体格がいい子は、
先輩からゲームに出ろと言われる。
「怪我をするような、野蛮なゲームには出たくない」
「嫌だ」
誘いを断ろうものなら、
今度はいじめが起こった。
ゲームに出るのも嫌だしいじめらるのも嫌だと、
自殺する者まで出てきたのです。
校長や先生たちは困っていた。
だから、ルールを作ったんです。
当時のイギリスは4つに分かれていましたから、
そのルールこそ国際ルールの起源です。
国や地域が違っても、変わらないルールを作った。
ルールを守って勝つことこそが素晴らしいこと。
ルールを守って戦うことは名誉なこと。
そう伝えていった。
ルールを作り、ルールを守ることで何が起きたかというと、
「じゃあ、どうしたら勝てるか?」と
ゲームをするための「練習」が行われるようになった。
けが人が出なくなり、
いじめがなくなり、
知恵をしぼり、
みんなで助け合うようになる。
これが近代スポーツの始まりと言われているんです。
そういったイギリスの話を聞きつけ、
視察に来た一人のフランス人。
このフランス人こそが、
近代オリンピックの父と呼ばれる
クーベルタン。
これは素晴らしい!と自国へ持ち帰り、
各国へ広めていこうとして、
(ここの流れはざっくり省略しますが)
開催されるようになったのがオリンピックです。
*
スポーツマンを日本語にすると、
どういう訳(やく)になるか知っていますか?
ちょっと調べてみてください。
(受講者)「スポーツの選手、スポーツを好んでする人」
はい、日本語ではそうです。
言葉は違えど、
同じ意味でしか出てきません。
でも、英英辞典で調べると、
そのような意味ではないんです。
出てくるのは、
グッドフェロー(よき仲間)と、
グッドルーザー(よき敗者)。
ドイツの社会人チームでのこと。
チームが勝った試合後に、
自分をマークしていた相手チームの選手が近寄ってきた。
なにごとかと思ったら、
「今日は素晴らしかった!
お前を止められなかったよ」
彼は握手を求めてきました。
「次は負けないからね」
そう言って、笑顔で帰っていったんです。
これが、グッドルーザーの姿です。
*
上記のお話は、
昨日23日に開催された
「サッカー界の育成のスペシャリスト
池上正さんとともに考える
”コロナ禍における指導者の新たな役割とは”」
(主催:アスリートスタンダード)
を受講して心に残ったお話の一部です。
*
私はグッドフェローだっただろうか。
グッドルーザーだっただろうか。
そして、この考え方を、
子どもたちに伝えていただろうか。。。
「ああああ」と叫びたくなる代わりに、
今日、ここに書いておきます。
*
2020年7月24日。
「スポーツの日」に。