コラム私見創見「カーリング体験会~笑顔生むリンク 継続・拡充を~」【デーリー東北2018年4月26日掲載】

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カーリング体験会

~笑顔生むリンク 継続・拡充を~

仙台に桜が咲き始めた今月上旬、宮城県カーリング協会主催の体験会に参加した。アイスホッケーやフィギュアの練習をしているアイスリンク仙台で行われると知り、娘たちも「面白そう!」「やってみたい!」と興味津々。アイスホッケーのスティックをカーリングのブラシに持ち替えてみた。

この日の参加者は20人以上。これまで協会として練習枠がある時間帯に「いつでもどうぞ」と体験希望を受け付けていたが、平昌五輪後は問い合わせが増加。「そだね-」という北海道弁や休憩中にお菓子や果物で栄養補給する「もぐもぐタイム」で注目された女子日本代表が銅メダルを獲得した影響もあって、体験会として実施することになったという。

いつも身に付けているアイスホッケー防具やスケートはいらないので、とても身軽。サークル仲間で参加していた女子大生たちはジャージでもオシャレ心を忘れていない。

協会の方は滑りやすい材質のカーリング専用シューズを履いているが、私はスニーカー。利き足ではない足の靴に、「スライダー」という体験用の滑るカバーを付けて臨んだ。「靴で氷にあがったらだめだよ」と小さい頃から教えられてきたので、体験会とはいえ氷に立つときは思わず「失礼します」と言ってしまった。

テレビで見ると、いとも簡単にストーンを投げているように見える。動きながらブラシでゴシゴシ掃く技術も「掃除を全力でするのと一緒でしょ?」と思っていた(カーリング関係者の皆さま、ごめんなさい)。

まずは氷の上に立って歩く練習をしたが、カバーを装着した足はツルツル滑るのでバランスが取りにくい。慣れ親しんだスケートと、まるで感覚が違う。「うわっ!」何度も転びそうになった。

体のどの部分を使い、どの筋肉を使っているのか。見るのと自分でしてみるのとでは、やはり全然違う。ストーンを投げる動作(デリバリー)は体の軸がぶれてしまうとヨロヨロと横になって倒れてしまうし、力強く遠くまで投げることができない。ストーンの動きに合わせてブラシで掃く動作(スウィーピング)は「次回にしましょうね」と笑って言われた。

正しいフォームを覚えるための練習を繰り返していくこと1時間。「なかなか良いですよ。では、ストーンを投げてみましょう」小学3年の長女に20キロのストーンは重かったが、3回目くらいでハウス(目標となるサークル)までの距離の半分は投げられるようになった。「おおー!いったいった!」「まっすぐ投げられたよ!」

カーリング専用リンクではないため、ハウスは練習前に自分たちで描いて準備しなければならない。ストーンは氷の質によって動きが変わってくる。鋭いターンやストップで氷を削ってしまうアイスホッケーやジャンプをするフィギュアと同じリンクでは、競技として行うには厳しい面もあるだろう。

周りを見渡すと、どのグループもゲームができるくらいに上達している。初心者ゆえ、ちょっと気を抜くと転んでしまうが、笑いもこぼれる。みんな笑顔で楽しそうだ。女子アイスホッケーでは必須の顔を守るフェイスガードがないからか、視界良好。娘も私も「楽しいね~」と言いながら、家族で和やかな時間を過ごすことができた。

そうだ、私はスケートリンクで生まれるこういう光景と笑顔が好きなのだ。カーリング、フィギュア、スピードスケート、そしてアイスホッケー。リンクは競技や趣味として打ち込める場所で、人と人とがつながる場所でもある。

つながりはスポーツの価値の一つであり、地域の文化が生まれて発展していく。仙台でも八戸でも、スポーツを支え、笑顔生まれるスケートリンクがこれからも継続し、さらに拡充していくことを心から願っている。

2018年4月26日(木)デーリー東北朝刊に掲載

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