しつもんメンタルトレーナー・藤代圭一さんの出版感謝講演会に行ってきました。
メンタルトレーニングは聞いたことがある方も多いかと思いますが、
藤代さんは「教える」のではなく「しつもん」で心<メンタル>をトレーニングする方法を開発した方です。
藤代圭一(ふじしろ けいいち)
1984年名古屋市生まれ。東京都町田市で育つ。スポーツスクールのコーチとして活動後、教えるのではなく問いかけることで子どものやる気を引き出し、考える力をはぐくむ”しつもんメンタルトレーニング”を考案。日本女子フットサルリーグ優勝チーム、インターハイ(サッカー)出場チームをはじめ、全国優勝から地域で1勝を目指すチームまで、さまざまなスポーツジャンルのメンタルコーチをつとめる。全国各地のスポーツチームや学校教育の現場などでワークショップを開催し、スポーツ指導者、保護者、教育関係者から「子どもたちが変わった」と高い評価を得ている。ビジョンは「1人でも多くの子どもたち・選手が、その子らしく輝く世の中を目指して」。しつもんメンタルトレーニング http://shimt.jp/
「スポーツメンタルコーチに学ぶ!子どものやる気を引き出す7つのしつもん」(旬報社) 著者紹介ページより
実は、アイスホッケーとも関わりがある方です。
3月のセミナーに参加したとき偶然知ったのですが、2016年12月、U20世界選手権ディビジョンⅡ(グループA)を率いた監督の大北照彦さんが、チーム作り(チームビルディング)の段階でこの「しつもんメンタルトレーニング」を導入したそうです。
私は個人的に藤代さんのメルマガを読んでいて、一度お話を聞いてみたいなと思ったので「しつもんメンタルインストラクター講座」を受講したのですが、これも不思議な縁だなと思いました。
「しつもん」をすると自然と人間は答えを探そうをする
一番印象に残った講演会最後の場面からご紹介します。
今いるその場で出来ますので、ぜひ読みながらやってみてください。
藤代さん「では、皆さん、今いる部屋を見回してください。」
(受講者全員、きょろきょろ見回す)
藤代さん「見ましたか?では、目をつぶってください。」
(受講者全員、目をつぶる。シーーーン・・・)
藤代さん「今いる部屋で、『青いもの』はいくつありましたか?」
藤代さん「はい、10個以下だと思う人?10個以上?20個以上?
30個以上?それ以上あると思った人?
・・・はい、ありがとうございます。
では目を開けてください。」
私&受講者(部屋をキョロキョロ。あ、結構いっぱいある!!うわ、これも青だ!)
目を開けてから当たり前のように青いモノを探す自分がそこにいました。
藤代さん
「目を開けてから、青いモノを探した方?
(受講者挙手)
はい、これが『しつもん』の効果です。
僕は『青いモノを探してください』という指示は出していません。
でも皆さんは答えを探そうとしました。
人間は、『しつもん』をされると自然と答えを見つけようとするんです」
・・・正直、「やられた~!!」と思いました(笑)。
目を開けたとき、「青いモノを探さない」という選択肢が全くなかったからです。
青いものはいくつありますか?と「しつもん」をされたから青いものを探した。
それが自然です。自然な行動なんです。
このような自然な行動を通して子どもや選手の成長を促すことができるのが、「しつもんメンタルトレーニング」なのです。
アイスホッケーの練習に「しつもん」を取り入れて感じたこと
”「しつもん」をすると人間は自然と答えを見つけようとする”
このことは、その日の夜にも早速実感することができました。
講演会当日の夜、私が関わっているジュニアチームの練習がありました。
ちょうどBチーム(3年生以下)のコーチが私だけの日だったので、取り入れてみることにしました。
3月のセミナーを受けてから考え方が変わり、これまでもちょこちょこ実践するようにしていました。
でも、昨日起こったことは、私にとっても新たな発見があったので書いておきます。
練習後半、3:3のマッチ(試合形式の練習)をしているときでした。
Bチームの子どもたちですので、マッチのときは楽しそうにプレーしています。
フォーメーションやシステム的なプレーなどを教えるのではなく、
自由にやらせていた時間帯です。
でも、「ちょっとこれはどうしても伝えておきたいな、考えてもらいたいな」という場面がありました。
パックを持っていたAくん。
味方のBくんはAくんの近くに、もう一人のCくんは遠く相手方のゴール前にいました。
(Bチームで使用しているリンクは半分のみなので、このときオフサイドは関係ありません)
Aくんの周りには相手がチェックに来ていて、パスを出すこともハンドリングして抜くこともできず、Aくんは止まったままプレーをしていました。
Aくんの止まったプレーを改善したかったことと、
そういうときは周りの選手(特にゴール前にガチッと立ったままのCくん)が近くに寄っていって助けてあげよう、ということに気付いてもらいたいと思いました。
選手たちを集め、まず場面を思い出させることから始めました。
「どうしても気になったことが1つだけあります。
ここに一人、パックを持った子がいました(Aくん)。もう一人はここ(Bくん)、そしてもう一人はここ(Cくん)です。」
↑ボードに書いたのはこういう図
ここで、「しつもん」をする前に子どもたちが口々に発言し出します。(予想外!笑)
「ああ、これ僕!」
「これは○○くん!そして僕はここにいたよ!」
まず私はこの子どもたちの発言にびっくりしました。
なぜなら、みんなそれぞれがポジションを覚えていたからです。
この日は連休中ということもあったせいか、Bチームのプレーヤーは6人だけでした。
(GK1人。もとから1人のみ)
3:3なので全員プレーしていたのですが、ほとんど自分がいたポジションをわかっていました。
「いやいや、そんなの当然でしょ?」と思うかもしれませんが、
この「自分のいたポジションをわかっている」「相手との距離がわかる」ということは、とっても大事なことだと私は思うのです。
空間認識能力といって、飛んでくるボールをキャッチしたり、駐車場に車をスムーズに入れることができるのはこの能力があるからです。
そして自分がいたポジションを分かっているということは、ちゃんと考えながらプレーしている証拠です。
「ここで止まっちゃったんだよ。パスも相手がいたからできなかった」
みんな状況はわかっていたんです。
「じゃあ、どうしたら良かったと思う?」
私は「そういうときはこうしよう」と教えるのではなく、「しつもん」してみました。
そうしたら・・・
「ハイハイハイ!!」
子どもたちは我先に答えようとしました。
ここから先はご想像の通りです。たくさんの答えが出るわ出るわ・・・笑
私は、Aくんがまず(前に)動くこと、Bくんがパスをもらいに行くこと、そしてCくんもゴール前に立ったままではなく動いてパスをもらいに行くこと、しか考えていませんでした。
もちろん、この答えは子どもたちの口から出てきました。
それ以外に出たのは、
Aくんがゴール裏を回る(そうだ!それもあった!)
AくんがBくんにパスしてまたもらう(おお!ギブアンドゴー!!相手がいるけど考え方はOK!)
子どもたちの頭は本当に柔軟だし、まいりました、という感じです笑
「はい、ありがとう。みんなが言ってくれたことは全部正解」
「え~!!!」(←目を丸くしてびっくりしていました笑)
「だって、どれも試合であり得ることだし、アイスホッケーはそういう(いろんな選択肢がある)ゲームです。
大事なことは、今みんなが「じゃあどうしよう?」って考えたこと。
それがとても大切なことなの」
その後、みんなのプレーは今まで以上に「にぎやか」になった気がしました。
Cくんもゴール前に立ったままではなく、自分から動くようになりました。
極めつけは「三角形!!」という言葉がプレー中の子どもたちから出たこと。
攻めているときに三角形(トライアングル)の形を作ることはアイスホッケーの基本とも言えます。(時代によって変わってくるかもしれないけれど、まず、基本)
「もう!みんな、わかってるんじゃん!!」(←心の声)
見ている私はわくわくしてきました。
次はどんなプレーをするんだろう。
どんなプレーを生み出すんだろう。
「しつもん」を練習にちょっと取り入れてみただけで、私自身も楽しくなった気がします。
「しつもん」は子どものやる気を引き出す方法の一つ
「大事なことは、今みんなが『じゃあどうしよう?』って考えたこと。
それがとても大切なことなの」
子どもたちにこの言葉の意味が本当に分かるのは何年か先かもしれません。
すぐには結果が出ないかもしれません。
基礎的な考え方は受講で学んだものの、
私が発した「しつもん」もこれで良かったのか?と後から自問自答です。
もっと適切な「しつもん」の仕方もあったかもしれません。
でも、言えることが一つだけあります。
「教えよう、教えようとしていた自分を変え、子どもたちに効果的な”しつもん”をする。たったそれだけで、子どもたちの目が輝き出し、みるみる能力を発揮するようになっていったのです。」
「スポーツメンタルコーチに学ぶ!子どものやる気を引き出す7つのしつもん」(旬報社)p8より
この言葉には心から共感します。
ウサギとカメの話(見ていたのは何だろう?ゴール?それともライバル?)
シャンパンタワーの法則(自分の心のグラスを満たしていますか?)・・・etc
皆さんに読んでいただきたいことが、この本にはたくさん詰まっています。
「しつもんメンタルトレーニング」はスポーツの現場だけでなく、学校教育や家庭でも使える方法です。
そしてまずは自分の気持ちを整理したいときに、「しつもん」は有効な方法の一つだと思います。
子育てに悩んでいるお母さん、お父さん方にも特にオススメです!
普段の私は「今、何にイライラしてる?」と自分に問いかけることが多いです笑
そして「心のグラスを満たすこと」を心がけるようになりました。
まだまだ感情的に怒鳴ることも多々ありますが、前に比べるとそんな自分を客観的に見つめ、
前向きになれた気がしています。
(こうして書くことができるようになったから笑)
藤代さんとお会いするのは2回目でしたが、2回目でもたくさん学びがありました。
本当にありがとうございます。
そして、はじめましての方々やFacebookつながりの方と実際にお会いできたことも嬉しかったです!
皆さん、これからもよろしくお願いします♪
最後に。おそらく気になった方もいらっしゃると思いますが、あえて「しつもん」とひらがなで書いています。
「質問メンタルトレーニング」ではありません。あくまで「しつもん」なんです!!
「質問」と「しつもん」の何が違うのか?また機会を見て書きたいと思います。
(待ちきれない方は書店もしくはアマゾンでポチっとお願いします!)
全く個人的な感想ですが、「出版記念講演会」ではなく、
「出版感謝講演会」としているのも、藤代さんの人柄が出ていてすてきだな~と思いました。
まだまだ全国各地でありますので、ご都合の合う方はぜひ!!
詳しくはこちらから!! 講演会詳細ページ http://shimt.jp/book
5/10(水) 福井:坂井市 19:00〜21:00
5/11(木) 石川:金沢市 19:00〜21:00
5/12(金) 長野:松本市 19:00〜21:00
5/14(日) 東京:銀座 18:00〜20:00
5/15(月) 群馬:高崎市 19:00〜21:00
5/17(水) 山口:岩国市 19:00〜21:00
5/18(木) 広島:広島市 19:00〜21:00
5/19(金) 岡山:岡山市 19:00〜21:00
5/20(土) 鳥取:米子市 17:00〜19:00
5/22(月) 大阪:大阪市 19:00〜20:45
5/23(火) 愛知:名古屋市 19:00〜20:30
5/24(水) 静岡:磐田市 19:00〜21:00
5/27(土) 沖縄:浦添市 19:00〜21:00
5/28(日) 福岡:博多市 18:00〜20:00
6/3(土)北海道:札幌市 19:00〜21:00
6/6(火)神奈川:横浜市 19:00〜21:00
6/8(木)高知:高知市 19:00〜21:00
6/11(日)大阪:大阪市 18:00〜20:00
6/12(月)奈良:奈良市 19:00〜20:30
しつもんメンタルトレーニング ⇒ http://shimt.jp